(1):メコンに沈む夕陽

※2003年9月のヴェトナム旅行の話です。

はるかチベットから始まるというメコン川は、中国、タイ、ラオスカンボジアを経て、ヴェトナムに流れつく。メコン川はヴェトナムで9つの支流に分かれ、豊かな大地を形成している。また9つの支流のうち、2つの大きな支流は、前江と後江と呼ばれている。

前江には大きくて立派な橋がかかっているのだけど、後江には橋はなく、人も自転車もバイクも車もバスもトラックも、すべて、渡し船を使って往復することになる。

写真の時刻は午後4時頃。後江の渡し船(フェリー)から撮影。夕陽というには早過ぎだけど、案外綺麗に写っている。


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今回の旅のきっかけはいくつかあった。ずっと好きな「水曜どうでしょう」のTV放映最終回にして、DVD第1弾の企画「原付ベトナム縦断1800キロ」もそうだし、沢木耕太郎の「一号線を北上せよ(Amazonへのリンク)」や「深夜特急」にしてもそうだ。素木文生の「上海の西、デリーの東」もそうだ。

だけど、一番の大きな理由は田口ランディの「忘れないよ!ヴェトナム(Amazonへのリンク)」になると思う。

「忘れないよ!ヴェトナム」は、「コンセント」「アンテナ」「モザイク」の3部作で知られる田口ランディのデビュー作だ。小説を書きたいと思って会社を辞めたものの、どうしても書けずにいた頃、知り合いの編集者に「ヴェトナムへ行ってみませんか?」と持ちかけられ、このまま日本で書けないままズルズルしているよりは、と思い立ち1ヵ月間ヴェトナムに滞在した、その時の体験記の形を取っている。

この本の中でキーワードとなるのが、「メコンの夕陽」だ。ランディさんも、この「メコンの夕陽」を見るのが目的のひとつとなっていたのだけど、途中から冒険に次ぐ冒険と、あとは雨期に旅したということで結局見れなかったということだった。

人の真似するのはアレだけど、なんと言っても「メコンの夕陽」。──言葉の響きが良いじゃないですか。そうして遂に拝んだのが上の写真というわけです。まあ、参加していたシンカフェメコンデルタツアーが忙しくて、ゆっくりは見れなかったのだけど。

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3週間の旅の間、結局3度この「忘れないよ!ヴェトナム」を読み返してしまった(日本でも2度くらい読んでるのに)。この本の中で、ランディさんは多くの人間と出会う。出会いはランディさんの冒険を味付けする大きな役割を持つ。そんな解釈でそのまま読み進めてもものすごく面白い。

だけど3度も読み返すうちにだんだんのめり込んで、ランディさんの出会った登場人物ひとりひとりに対して、「この人の考え方は自分とは違う」とか「この人は自分と似ているかも知れない」とか勝手に想像をめぐらせるようになってしまった。性格判断をしているみたいに。

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