鐘山苑

1 泊 2 日の社員旅行。富士山麓にある鐘山苑というホテルに泊まる。露天からは富士山が見える実に見事なホテルで、「布団を敷いてくれる宿」は正直生まれて初めてだった。仲居さんの数も多い。なんか昼ドラみたいだと思いながらも、サービスは行き届いているし、きれいな人も多い。また、ロビーでは時間になると琴の生演奏なんかが始まり驚いた。
立派な庭園もある。所々に赤い幕を張った和風のベンチや唐傘がレイアウトされていて美しい。小川へ下りると、地面がどうやら溶岩の跡らしいことに気づく。完全に人工的に造った庭園というわけではなく、もとの自然を活かした設計になっているのだと思う。
ホテルへ着く前に「忍野八海(おしのはっかい)」に立ち寄ったが、こちらも落ち着いた美しさがあった。雪解け水がコンコンと湧き出る手水鉢(?)には「30 秒、手を浸けてみてください」と書いてある。ためしに手を入れてみたが 10 秒少しで音を上げてしまった。それくらい冷たい。透明度もかなりのもので、10 メートルの水深があるという池は底まで見通せるほどであった。普通の池や湖は透明度が低くてすぐ見えなくなるし、プールは浅いのでそれほどでもないのだが、10 メートル見通せる池は光の屈折がすごくて、珍しいものを見た気がした。
宴会では新入社員の隠し芸があった。時間の関係で出演したのは数組だけ。自社の CM のパロディは普通に面白かったが、一番面白かったのが、新人男女 10 人ほどが並び、中央の女の子が上着を脱いだかと思うと、ナース姿に変身し、「アメイジング・グレイス」を 10 人で、ただ、唄う、という芸だった。前の方の先輩・お偉いさん方は「はてな?」という顔で若干引き気味だったのだが、僕はひとりで爆笑し、僕の爆笑が周りをさらに引かせるという、なんとも奇妙な光景であった。
ホテルの方からは、太鼓の演舞があった。生演奏の迫力と、「演」と「舞」の絶妙なコンビネーションには感動した。太鼓は、実は、「動き」込みのパフォーマンスなんだと思った。