下駄で歩いた巴里 (1)

下駄で歩いた巴里 - Amazon へ前に図書館で借りていた「放浪記」は、3度も延長して合計2ヵ月手元にあったものの読み終らない。またいつか読み直そう。前も書いたけれど、「放浪記」はゆっくりと読みたい本なのだ。
気分を変えて借りたのが岩波文庫「下駄で歩いた巴里」。タイトルからして、よろしい。前作「放浪記」がベストセラーとなり、芙美子が中国からシベリア鉄道をつたってパリまで行く、紀行文である。時代は昭和5年とか6年。
僕は、あいまいな言い方だけど、「少し遠いところ」へのあこがれが強いように思う。近いところは、すぐ行けるから別段あこがれもなにもない。少し遠いところだ。
たとえば、国内でいえば、どこか地方の都市。北海道や博多。島根や鳥取、富山。海外でいえば、ミャンマーブータン、ネパール、キルギスカザフスタン、ロシア、グルジアポーランドスウェーデン、ペルー、チリなど。時代でいえば、大正や昭和。どれも自分にとって「少し遠いところ」だ。
大阪や東京はあてはまらない。アメリカやイギリスも。戦国時代も奈良時代も、遠すぎてイメージが湧かない。
「下駄で歩いた巴里」で林芙美子は昭和6年、シベリア鉄道に乗り、巴里を目指している。どうしようもない程、ど真ん中である。あこがれのため息しか出ない。

林芙美子紀行集 下駄で歩いた巴里 (編集)立松 和平 - 岩波文庫
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