400円

基本は貧乏性である。土日にCDでお金を引き出すのは、手数料がかかるのでイヤなクチだ。
昨日京都へ出たせいで、すっかりお金がない。しかし部屋には食べ物がろくにない。ネギと納豆と梅干し、卵、マイタケ、人参。タンパク質が足りない。
というわけで買い物へ。残金は400円と少し。石鹸を買わないとお風呂に入れないので、まずこれを買う。100円ナリ。残金300円。人参と卵があるので、鶏肉とタマネギがあればオムライスが作れる。お弁当がおいしそうに目に映る。が、安いもので398円。悲しいかな、足りない。ステーキが780円だと言う。足りぬ。ビールなど買いたし。無理だけど。
結局、194円のとりもも肉と3玉98円のタマネギをぎりぎり買って帰る。放浪記の一節が思い出された。

 私のペンは不思議なペン。
 私は地図のようなものを書いてみる。まず、朝鮮まで渡って、それから、一日三里ずつ歩けば、何日目には巴里(パリー)に着くだろう。その間、飲まず食わずではいられないから、私は働きながら行かなければならない。
 一寸(ちょっと)疲れてくる。
 夜、あいなめを焼いて久しぶりに御飯をたべる。涙があふれる。平和な気持ちになった。

新版 放浪記(新潮文庫)p.313