アンコールワットへの旅 4 日目 アンコールワット

レリーフ

サンライズがいいですよ」と宿の兄ちゃんが言うので、朝 4 時半に起きて、兄ちゃんの運転するバイクでアンコールワットに向かう。こっちに来てからというもの、曇りと雨の日が続いていたので「薄暗い明かりが見えたくらいの光景を『サンライズ』って言ってるのでは?」と道連れと話していたら、本当にその通りになった。だが、それでも、まだ暗いうちからゴソゴソと起き出して、夜風に吹かれながらアンコールワットへ向かう道中の空気だとか、虫の音と風の音しか聞こえない古代の遺跡の中にたたずんだ時の雰囲気だとかは来た甲斐があったというものだった。モーターや電子音のしない空間は日本の生活にはなかなか少ないと思う。
アンコールワットといっても、それはあのあたりにある遺跡のほんの一部で、1 〜 2 キロ先にはアンコールトムがあり、その中にはバイヨンや王宮といった遺跡が広く点在している。だんだんどれも同じに見えて来て苦笑してしまった。
もちろん遺跡の中も見学できる。中に入ると老婆が仏壇?の前で線香を観光客に渡しながら「1、2、3 と、3 度礼をしなさい」という。それで終わりかなと思いきやお賽銭をたかられる。うまい商売だと思った。
遺跡の中には塔もあり、これを上ることも可能だ。ただし、手段といえば外壁に作られた石の階段だけだ。11 世紀とか 12 世紀あたりのしろものなので、風化が激しく段の所々が欠け、しかもかなり急と来ている。午後に入ってくると太陽が照り付け、それが石に反射したり、地面に吸収されたりと、蒸し暑さが急激に増してくる。とても疲れた。若くないと無理だ、これは。
複数の石を組み合わせて顔を形作ったりする彫刻が有名だが、どの遺跡にも存在する。門などに彫られていることが多いみたいで、その迫力とともに日本の寺院における仁王のような存在なのかなと考えた。
朝・昼と食事をしていると、去年のヴェトナム旅行でもあったように、小さい女の子が「エハガキ 10 枚 1 ドル」と言って寄ってくる。アジアの子供の可愛さはとびきりだ。この可愛らしさはなんなのか?と思うくらい可愛らしい。バイクに乗っけてくれた宿の兄ちゃんはこう言う。「この子たちは、学校に行けないからこうやって働いています。自分でお金を稼がないと学校に行けないんですね。」小学校でさえも教育を受けるのにお金が必要なのだと言う。「難しい問題です」と付け加えた兄ちゃんだった。実は公務員の道連れも、神妙な顔をしていた。