キプロス

で、その食事の帰りのバスで、Pさんと会う。以前出身国を耳にしたのだけど、Pさん自身が「ほとんどギリシャみたいなもんです」なんて言うものだから、ギリシャとだけ記憶していた。だけど実はギリシャではないらしく、今日改めて聞いてみたら、「キプロス島です」と仰っていた。キプロス・・・聞いたことあるようなないような。「知ってますか?」と聞かれたのだが、正直に知らないと答える。

あとで調べてみると(外務省 - キプロス共和国参照)、地中海に浮かぶ島キプロス島を統治する国家が、このキプロス共和国であった。日本と同じ島国だが、北にトルコ、東にシリアやレバノン、北西にギリシャが位置している。面積は四国の約半分である。ギリシャユーラシア大陸の半島部分とあと数々の小島からなる国らしくて、「淡路島は何県だっけ?」というような感覚で、キプロスもまた「ギリシャみたいなもんです」ということになるのだろうか(←超いいかげんな喩え)。

人口は 87 万人でギリシャ系 84.7%、トルコ系 12.3%。首都はニコシア公用語は現代ギリシャ語、トルコ語で、ギリシャ正教、回教を信仰している。このあたりは人口の民族比率のままと言ったところだろうか。

略歴は以下のとおり。1960年8月16日、英国より独立を宣言。1974年7月15日、ギリシャ軍部指導によるクーデター。1974年7月20日、トルコ軍キプロス侵攻。1983年11月15日 トルコ占領地域、一方的に「北キプロス・トルコ共和国」独立を宣言。ただし、日本政府はこの「北キプロス・トルコ共和国」を認めておらず、入境は難しいという。

また、徴兵による兵役が26ヶ月ある。主要産業が観光業。貿易は輸入が輸出を大きく上回り、2001年の統計によれば、対日貿易は輸出6億円に対し輸入は463億円となっている。通貨はキプロス・ポンド(C£)。1C£=1.65米ドル(2003年10月)。なお、旅人には重要な査証であるが、1972年9月締結の「査証及び査証料免除取極」により必要ないらしい。

で、どんなところなのだろう。いくつか検索してみると、こんな写真に出くわす。発想が偏っててアレだけど、ドラクエの街の風景みたい。自分はアジアからほとんど出たことがないので、こういう街並みはかなり新鮮だ。ただ、この方のHPを見ると、どの写真もセンスが良いので「いいトコ取りばかりした映画のCM」様なのかもしれないけれど。

Pさんの話に戻る。はじめて日本に来たのかと思っていたらそうではないらしい。というかそれが愚問であると思えるほど、Pさんの日本語はかなり流暢なんだけど。聞けば日本はもう7年目で、はじめはうちの大学にいて博士号を取り、その後2年間東京のK社で働いていたらしい。その後COEのポスドクとして再びうちの大学へ戻ってきたというわけだ。キプロスへは帰っているのか聞くと、「1年に1度くらいですね。今年はこないだの Eurospeech の時についでに帰りました。」ということである。

── ぼくはヨーロッパへ行ったことがないんですが、やっぱり遠いですよね。

「そうね。14時間くらい。」

── キプロスへの直行便は無いのですか?

「ないない(笑)。ルフトハンザだとフランクフルト、エールフランスだとパリを経由して、そこから2時間くらい。ロンドンからだと3時間かな。」

── キプロスって季節はあるのですか?

「あるよ。日本と同じ。それにしても今日は暑かったね。もう秋なのに。キプロスは一度涼しくなったらそのままだんだん気温が下がってきて、冬になるの。日本はヘン。」

── (笑)。あれかもしれませんね。「三寒四温」って言葉知っています? 日本の春は3日寒い日があると4日暖かい日があるという意味なんですけど。春と秋の気候は似てるから、今週の1週間もそんなかんじなのかもしれないですね。

「へぇ〜。だけど日本の夏は暑いね。蒸し暑い。奈良は夏暑くて冬寒い。京都もそう。」

なんの話をしているのだろう。結局話題の無いときは、天気の話になるのかな。それにしても、外国の人を見ると、ついつい日本のことについて教えてあげたくなる。要らぬ世話なのか、ありがた迷惑なのか、それとも少しは喜んでもらえてるのかわからないけど、何かそこは下世話に話したくなる。「三寒四温」みたいに(笑)。

そうこうしてると、分かれ道に着いた。Pさんは大学の寮とは違う宿舎に泊まっているそうだ。ちょっと遠いところまで歩くのを「良いエクササイズね」なんて言いながら歩いていく。ぼくも寮へと歩みを進めた。

上の食事と、キプロス出身のPさんとの会話。今日は良い日だ。

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