ソトとウチ

帰りにSくんとバッタリ会った。同期の子で別の部署だけど、同じような仕事をしている。僕は社内向け、Sくんは社外向けの仕事だ。
彼は有能なのでバリバリと社外の人とバリバリ仕事をこなしているのだけど、久しぶりに会ったSくんは「仕事の内容がこれでいいのかイマイチ手ごたえが薄い」という風に言っていた。
僕たちの部署では目の届く範囲に責任者や担当者がいて、「これでいいのか悪いのか」をすぐ聞くことができる。また比較的チームの規模も大きいため、同じ仕事をしている仲間内でああでもないこうでもないと互いの成果物を評価しあうことができる。
一方Sくんの場合は、取引先の人もSくんの仕事の分野に自信が無いのか、はたまたウチの会社に気後れしてるからなのか、「ここをこうしてほしい」だとか「少し思うような仕上がりになってないので」だとかいう建設的な指摘というのがなかなか返ってこないのだそうだ。チームの規模も小さいため、「同じ釜の飯を食う」くらいの距離感で仕事をしてくれる同僚もいないのだと思う。そういうことに、すこし不満をこぼしていた。
とはいえ、こうしたことは一長一短で、たとえば僕の部署では1つのプロジェクトが長くなることが多く、Sくんの部署では、比較的短いスパンのプロジェクトが次々とやってくるのだそうで、「経験の広さ」でいうとSくんの方が断然広い。それはとてもいい経験になるはずで、とてもうらやましいと思う。
ただ、今の部署での仕事も、ひとつのプロジェクトへの心血の注ぎ方が濃いため、これはこれで幸せなことだとも思っている。