ちょっと元気出た

昨日は昼間から寝たり起きたりをグズグズ繰り返していたせいで、晩眠れず、またグズグズとテレビを見たりしている中、午前3時ごろ、堂本光一が司会の討論番組「ジェネジャン!」が始まった。どうやら昨年10月放送分の再放送(関西では最近放送してなかったから、気まぐれ的に放送したのかな?)で、テーマは「働く」。
出演者は、社長枠として目立ったのが、ライブドアM&A 担当の林類さんという方(珍しい名前だったので覚えている)、はてなの近藤さん、飲食業を経営されている 36 歳のちょっと強面の方、「恋のから騒ぎ」にも出演されていたはいりちゃん、あと、派遣業を営んでおられる関口房朗さん。プー側 (失礼) としては「幼稚園の頃に人間関係が苦手だと悟った」という読書家でちょっとネズミ顔の方、ミュージシャンを夢見る女の子、就職してもすぐ首を切られてしまう 30 代のエンジニアの方、ギャンブルにはまってホームレスになった 44 歳男など。文化人・芸能人枠は、ペトロ三木というグラサンの怪しい作家、テリー伊藤、(なぜか) 梨花ふかわりょう及川奈央、やたら知識だけ詰め込んだ大学1年生など。
話を聞いていて、基本的に社長側の理屈がすんなり理解できる気がした。強者の論理は、覚悟があって潔い。たとえば、飲食業の (ちょっと見にはチーマーみたいに見える) 社長が「従業員といっしょに皿洗いするような経営者がいい経営者だと思ってるんでしょ。でもそれは悪い経営者だと思う。彼らの時給ではできないことをすべきだ」というようなことを言われていたけど、逆にそれだけの生半可な覚悟と情熱ではできないことをやっているのだということの裏返しだと思った。
この方、風体はこわいけどしゃべることひとつひとつが諭すような訥々とした雰囲気で、非常に好感が持てた。一方でペトロ三木と知識オタクの大学1年の言うことは、論理はそれぞれつながってるんだろうけれど、議論を議論ゲームとしてしか見ていないような態度が透けて見えてしまってしようがなかった。口先三寸で薄っぺらな価値観しか伝わってこない。彼らを見ていて、仕事で「進み具合どう?」なんて聞かれた時に、ごまかすつもりなんてないのになんか言い繕ってしまう自分 (大学院2年間のゼミでの発表練習で、まがりなりにもそんな能力・癖がついてしまったらしい) を思い出してしまった。大学1年生の方はまだ若いから良いとして、ペトロはとりあえず東大卒の肩書きと自分を隠すグラサンを外した方が良いように思う。じゃないと説得力増さないんじゃないだろうか。
フリーター、あるいはニートな人間に対しても、関口房朗さんは「あんたらの言ってることは全部言い訳に聞こえるんだよ」とバッサリ。はいりちゃんは、再就職がなかなか決まらない方に対して「人のいい顔してるけど、あたしよりわがままなんじゃないの?」。ごもっとも。はいりちゃんが言うから余計に真実味が増す。ふかわりょうもけっこうこの日はアツく語っていて、どれもうなずけるものばかりだった。
で、表題の「ちょっと元気出た」というのは、アニメが好きな22歳の男の子の話のとき。この方、大学を卒業するときそれなりに就職活動したけど、結局失敗していろいろ探した挙句、自分の興味のあった「映像関係」という文字に引かれて入ったのが、AV メーカーだった。主な仕事というと、ビデオのパッケージのデザインで数あるスチル写真からどの写真を使うかを決めたり (ビデオの売上が左右されるので重要な仕事である、とナレーションが入っていた。たしかにその通り) とか、新人なので現場の設定をしたり、緊張している女優さんに対して持ち前のギャグで和ませたりと、なかなかの活躍ぶりに見受けられた。彼の顔立ちというか醸し出す雰囲気を見ると、いかにもアニメオタクなかんじで、こざっぱりとした格好はしているものの、目が細く受け口で古谷実の漫画に出てきそうな、まあ言ってしまえばブ男だった。そんな彼だから、たぶん女優さんを和ませるためのギャグもがんばってがんばってひねり出したものだったのではないのか?という気がした。
彼は「監督がすごくワンマンな人で、すぐバカとか言われるのが不満だ」とこぼしていたが、先ほどのチーマー社長やテリー伊藤が「バカはバカでも愛情から出てくる『バカ』っていうのもあるよ」だとか「バカになれるというはひとつの才能だよ」と言っていて彼のことをすごく励まし、評価していた。「呼び捨てにされたりもするんでしょ。でもそれは親愛の情からってこともあるよ」と言われると、「あ、ほんとだ。呼び捨てにされてるの俺だけだ!」とちょっと嬉しそうにしていたりもした。
そういうのを見てると、なんかその、社長連とか、堂本光一テリー伊藤ふかわりょう及川奈央らが彼に「がんばれよー」とエールを送っているように見えて、こっちまでちょっと元気が出てくる気がした午前4時だった。
(出演者の発言や引用、うろ覚えなので誤って書いてしまっているところがあるかもしれません。申し訳ありませんが、ご了承のほどよろしくお願いします。)